鑑賞者は、これらの絵を特定の向きで見たとき、他の向きで見ているときとは違う、しっくりくるというような安定感を感じます。これらの絵を認識する時、私たちに蓄積されている、視覚的経験と身体感覚の経験が感覚に働きかけてくるのです。  私たちが経験する空間は、地面で閉じられた半球状の形の中で、重力の働きがあり、頭上に太陽が昇り、光が降り注いでいる。私たちの経験には、そのような環境が作り出す方向性の仕組みが付随しています。  本展示では、絵に特定の方向性を与える要因として、主に重力と光源を提示し、それぞれ絵に現れる事象の表現として分類しています。 ※図録用のキャプションです。展示時は、自作の天板に説明を表記するので、キャプションの説明欄は空白にしてください。