2年生対談

統合デザインに入ってみて

佐藤 良徳 / 秋山 エドガル / 小林 凛花

統合デザイン学科には、志望動機も入試方法もバラバラなバックグラウンドの異なる色々な人が集まっています。どんな考えで統合を選んで今何を学んでいるのか、大学生活にも慣れ、日々多くの課題制作に取り組んでいる2年生の小林さん、秋山さん、佐藤さんの3人に話してもらいました。

– 美大を目指し始めたきっかけについて教えてください。

 

佐藤:今でいう共通併用と一般で出しました。私はそもそも、美術系を考え出したのが遅くて確か高2が終わるぐらい。その時期に受けた模試の志望校を、周りのノリで早慶GMARCHあたりで出したら見事に全部E判定。で、大学は勉強しないと入れない、努力しなきゃいけないんだったら面白そうな方面で頑張ろうと思って。当時音ゲーが大好きで、その中のジャケットアートワークとかロゴタイポとか、色々見て興味を持って「ちゃんと勉強したら面白そうだな」みたいな感じで志望したのがきっかけでした。実技を始めたのは 高3の6月とかでめちゃめちゃ遅かったけど、美術系の一般入試受ける人って実技にパワー全振り、みたいな人が多いイメージがあって、そういう人たちと比べて実技の能力はないけど、その分学科の方で自分は点がとれるって思ってたから、なんとか戦えると思って一般で受験しました。

 

秋山:自分らは推薦で。自分は高校は美術科でファイン系だったんですね。デザイン系を目指し始めたのも高3の中盤とかで。

 

小林:私は普通科の高校で、美大受験を決めたのが高1の夏で、実際に本格的にやり始めたのは、高2の1月で結構遅い。浪人が許されない家庭だったので、一発勝負で、自分のいいところを出せる試験方法を探してたら統合デザイン学科の推薦があって、試験内容にあるプレゼンテーションが自分は結構好きなので、統合を受けることにしました。

– 統合に入って良かったことは何ですか?

 

秋山:僕は静岡出身なので、普段大学に行ってもの作って終わりじゃなくて都内とか散歩したりもする。大学で学べること以外の知識とか経験学べたらいいかなって思ってて、結構そこは充実してる。結構都内の大学に行くメリットってやっぱそこにあるのかな。

 

佐藤:そうだね。ここは電車の乗り継ぎで色々行けるから。

 

小林:渋谷に近いし自然もあるしでいいとこどり。

 

小林:ここの学科のいいところは色々な入試方法が選べて、学科のみの人たちは設計が上手い、一般受験の人たちはビジュアルが美しい、 推薦の人たちはアイデアが面白いみたいな、全員が当てはまるわけではないけど、自分にできないことをできてる人たちがたくさんいて、すごく刺激になるからいいなって。

– 印象的だった講評はありますか?

 

秋山:皿課題について話すと、授業としての方針は実際手で見て手で作って生まれたものが、どう食卓に影響するかっていうのを意識するように言われて。でも自分はちょっと実験的なことをしたかった。お皿の形もそうだけど、僕はカタログだけなのが元々寂しいなって思っていて、 だから想定のブランドとお店を作って、そのお店がお客さんと繋がるために必要なコミュニケーションツールと必要最低限のブランディングをしました。

小林:そもそもこれが架空のお皿で実際にないからこそ、ここまでしないと、カタログを手に取りたいとは思わない。

 

秋山:うん、現実味については意識した。

 

小林:私はデザイン・バイ・アクシデントで、 風船を割った時の形を『心臓が爆発する』って表現に使ってみたくて、全30種類ぐらいの絵を1冊の小説にして、恋心だったり嫉妬心が爆発した時のかたちをデザインしました。色にとらわれずに形を見てほしくて、白黒にしたんですよ。姜先生には「それを白黒にする必要あった?」って言われて、 色のある風船を探して、色があった方が全然良かったって言われて、ああ、やっぱり確かにそういう見方もあるんだなって思った。

佐藤:私はシェイプかな。自分でテーマを決めてスタイロを削る課題。あれ結構難産で、どう評価されるかヒヤヒヤして出したら、めちゃめちゃウケがよくてびっくりしたんだけど。

 

秋山:なんかめっちゃ精度高かったよね。長崎先生の鼻息が荒くなってた。「素晴らしい、これいい。セクシー」って。

 

佐藤:これはほんとに全然決まらないまま、当日の朝まで悩みながら何個か作ったうちの最終的なやつ。テーマはソリッド感。私が好きなのがロボット系の単純なかっこよさで、それを1個の塊で出せる形を試行錯誤した結果、面取りの加工がロボットとかの造形の良さだなって。ピン角だと欠けたりするから、斜めにカットを入れることで、 強度とかをあげてる。そういうところが多分ソリッド感だって思って。ほんとにギリギリで作ったし元がただの立方体から始まってるから、複雑さ、面白さがないな、って思っていたら、精度の高さと陰影のついた写真が評価された。

 

小林:精度は必ず仕上げないと、いくら良くてもいいって言ってもらえない。

 

佐藤:見栄えが全然変わってくるから。アイデアの良さも大事だけど、実際に見える部分の綺麗さ、精度は大事。

– 統合デザイン学科について、高校生に向けて一言お願いします。

 

秋山:統合は学ぶ分野が多い分、悩みの質も上がるじゃないですか。1個のことだけ悩むんじゃなくて、課題ごとに悩みも違うじゃないですか。多分デザイン以外のことも悩むと思うんですよ。そういう悩みの蓄積がなんか、この統合デザイン学科の強みなのかもしれないなって思ってて。今だって、オープンキャンパスのグラフィックとか、 質とかを良くしようとして、みんなが悩むじゃないですか、そういう悩み合戦が起こるのが自分は結構楽しいと思ってます。笑 統合がきてるっていうのは、悩む人たちが今後成長してくんじゃないかっていう期待がありますね、もちろん作品もそうですけど、人の方にフォーカスしてますね。

 

小林:統合はコロナ禍前にサマースクールという高校生向けの大学イベントを開催していました。当時進路に悩んでいた私に最終日米山先生に「何か新しいことをやりたいんだったら、入るべきだ」と言われたんです。今って美大じゃなくてもデザインを学べるし、デザイン職に就けたりするじゃないですか。でも常に発見して日々を楽しくしていくのは、美大生の使命かなっていう風に思って。デザインには意味があるし、素材の使われ方にも理由がある。ただ単に可愛いとか、かっこいいとかで作られてないっていうことを学んで、今までだったら装飾とかにこだわってたけど、そうやって素材の見方を最初から学べる。知識とかを新しく考え直すことができたのは、統合入ったおかげなのかなって思います。あと尊敬するのは先生だけじゃないなって統合に入って思いました。私は先生と同じぐらい同級生とか、先輩のことも尊敬する。それは自分にない考えを持っていて、たくさんのアドバイスとか、刺激を与えてくれるからで。なんかここに入ったら、きっと自分の考え方や見方が変わっていって、新しい自分っていうものを作れるかなっていう風に思います。

 

佐藤:統合にいる人みんな生き生きしてるし、ほんとにそれぞれ好きなものを持ってるからこそ、自分の知らない分野の融合みたいな発展がめちゃめちゃある場所だと思うんだ。その発展によって、色んな素敵な人の作品が見れるし、自分も作っててワクワクできる制作ができるのは統合のいいとこだね。思いっきり好きなことやっていい。誰も止めない。しょうもないこと言う人はいるかもしれないけど、ほんとに一部だから。思い切って作って、世に出したものは、絶対気持ちとか、良さはいろんな人に伝わるから。「俺こんなの作れちゃうんだ」みたいな感動が頑張って継続して制作していく中で見つけられたりするのが楽しいね、そういう瞬間が1番楽しいかな。統合で生活していると自分が気づいてなかった可能性に出会える。