海岸に群生している生き物を見つけたとき、圧倒的な密度に目が離せなくなる。そういう時はつい全体に気を取られ、ひとつひとつを見られていない。それぞれが別の生命で、ひとつとして同じものはないのに、当たり前のことを失念してしまう。表面的な情報で一括りにして、認識の中で勝手に個を埋もれさせてしまっているのだ。