ポスターの多くは平面上で完結している。駅の中で見るのも街中で見るのも、中身の違いこそあれ同じ形式の中での変化でしかない。そこで私は「二枚の平面で表現する」という制限を設定し、そこに新しいポスターの見え方はないかという研究をすることにした。  アイデアは制限をかけられるからこそ枠組みを突破しようと画期的なものになるのだと思う。多くの人は「制限なく好きなものを作ってくれ」と言われると、逆に選択肢が多すぎて萎縮してしまう。挙句には常識の中だけで右往左往して終わってしまうかもしれない。だからこそ私は制限を設定した上で生まれる新しい表現を模索した。  結果的に私は今回の作品からある気づきを得られた。それは、楽しみ方のルール変更ができれば世に出る広告の常識は大きく変わるということ。これまでは、多くのポスターの評価基準は美しさや面白いアイデアが紙面上で表現されているかだった。それに比べてDEEP PLANEでは、二枚の平面から生まれる距離感や空間がどんな楽しさを生むかへと変化した。同じポスターという媒体でもこれだけ変わることに、これから先デザインを続けていく上での可能性を再確認することができた。