真っ白な立体を見つめると、光の当たる角度によって面の明るさに差 が生まれることに気づく。私は、その明度の差をなくすよう立体自体の グレーの濃淡を印刷によって調整することで、形の奥行きがなくなっ たように感じさせることができるのではないかと考えた。 「見える」という当たり前の状況が、制御下に置こうとした時初めて、 繊細で複雑であることに気づく。 入り組んだまま、ぼんやりと受け入れているものをこうして紐解き、確 かめてみることで、ひとつずつ世界を知っていく。