これらの作品群は、モノの表層を写し取った石膏レリーフであり、日常 から見出したささやかな美の集積である。わたしは、日々の中で見過 ごしてしまうような些細な美を捉えたかった。見慣れているはずのモノ たちは、真っ白なキャンバスに浮かびあがる「凹凸」だけでみると新 鮮で、美しい姿をしていた。知らない姿のようで、わたしたちが目にし、 触れた時に無意識に感じ取っている記憶の断片とたしかに重なった。