食器棚に重ねられたお椀。コップに挿された歯ブラシ。 生活の中で生まれる、そうした何気ない姿に魅力を感じてきた。 その魅力を崩さず、置かれた場所や空間がわずかに温かくなるようなものを、形にできないかと考えた。 生活を振り返ると、記憶の断片にあるものたちは、ぼんやりと曖昧に揺らいでいる。 手の感触を通して形を探り、磨くほどに輪郭の緩んだ形は、その場に柔らかく溶け込んでいく。