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学生が地域を巻き込んで企画・実施した夏祭り——「大学生活は、自分たちの手でもっと面白くできる」と信じた3日間を、実行委員長と振り返る

2025年夏、上野毛キャンパスで初めて開催された、上野毛、八王子両キャンパスの垣根を越え、地域をも巻き込む新しいムーブメントを生んだ夏祭り「夏宵祭」。その中心にいたのは、実行委員長を務めた統合デザイン学科の2年生、長枝昂市さん。企画のきっかけから、上野毛という場所への思い、そして次年度への展望まで、熱く語ってくれました。

「演舞の“見せる力”に憧れた」——統合×演舞、異なる表現が響き合った3日間

——今回の「夏宵祭」は、上野毛キャンパスで学ぶ統合デザイン学科と演劇舞踊デザイン学科が、授業外で協働した貴重な機会でした。実際に企画を進める中で、どんな発見や印象がありましたか?

長枝: 僕は統合デザイン学科の学生なんですが、今回の「夏宵祭」で演劇舞踊デザイン学科の皆さんと一緒に企画を進める中で、すごく刺激を受けました。演舞の人たちは、自分自身が“媒体”のような存在で、見られることを前提に表現している。照明、衣裳、舞台美術、身体表現——すべてが一体となって空間をつくる力があって、「やりきる力」はまさに“魅せるプロ”だなと感じました。

2号館前特設ステージの踊りの企画『HEY! WA! ODORI 〜みんなで踊るぜ!〜』の演出も本当に素晴らしくて、観客を巻き込む力が圧倒的でした。僕たち統合の学生は、どちらかというと“つくる側”に意識が向きがちなんですが、演舞の皆さんは“届ける側”としての完成度が高くて、そこにすごく憧れました。普段はPBL(PBL(Project Based Learning)科目)などで交わることはあっても、こうして課題ではない場で一緒に何かをつくる機会はなかなかないんです。だからこそ、今回のコラボはすごく貴重だったし、上野毛というキャンパスが“交差点”になったような感覚がありました。

——異なる専門性が響き合った場だったんですね。

長枝: そうですね。演舞の皆さんのエンターテインメント性は、僕たち統合の学生にとっても大きな学びでした。お互いにリスペクトし合える関係が生まれたことが、今回の祭りの大きな成果の一つです。

「つながり方が変わった。それが成長だと思う」

——教授も学生も“課題じゃない場”でつながった、初めての感覚
——3日間を終えて、どんなことを感じましたか?

長枝: 今までは「上野毛キャンパス、もっと良くなってほしいな」っていう願望だったんです。でも「夏宵祭」の開催を通じて「僕たちが良くしなきゃ」って、より自分事として思うことができた。教授や研究室の人たちとも、課題ではない場で繋がれたのが新鮮で。それが祭りの力だと思いました。

夏の風物詩、流しそうめんコーナーも。来場者に「涼」と「楽」を届けたいという、実行委員たちのこだわりが光ります。

「お祭りって、こんなに人の記憶に残るんだ」

——限界集落で見た“お祭りの力”が、上野毛キャンパスで初めて協働した学生たちによる祭りづくりへとつながった
——そもそも、夏宵祭をやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

長枝: 高校の頃から地域や企業と関わる活動をしていて、去年は三重県の二木島 (にぎしま)の限界集落の漁村で写真展をつくるプロジェクトに参加したんです。ちょうどそのタイミングで、島では5年ぶりに小さなお祭りが復活することになっていて。写真展の素材を集めるために一軒一軒訪ねて回ったら、どの家にも飾られていたのは「お祭りの写真」だったんです。

——それは印象的ですね。

長枝: 限界集落って言われるような場所でも、お祭りへの熱意はすごくて。人を集める力、同じ思いを持てる場としての力を感じました。それを見て、「上野毛にもこういう場が必要なんじゃないか」と思ったんです。新校舎もできるし、何か残していくものをつくりたい。それが「夏宵祭」の原点です。

上野毛キャンパスで初めて開催された「夏宵祭」は、学生たちの想いと大学と地域の共創の第一歩です。

「上野毛という“地”でやることに意味がある」

——祖父母の記憶、上野毛駅前の踊り、そして“この場所”で始めたかった理由
——準備で苦労したことや工夫したことは?

長枝: 初開催だったので、慎重な先生もいらっしゃいました。実行委員の中にも今年度は不完全燃焼を感じた人はいたと思います。でも、それも次につながるエネルギーになる。僕自身はもっと多くの人を巻き込みたかった。上野毛キャンパスって八王子キャンパスに比べて小さなキャンパスだけど、だからこそ余白がある。他大学の学生や地域の人、子どもたちも交えて、もっと混ざり合える祭りにしたかったという思いはありました。

——「上野毛で開催すること」にこだわった?

長枝: そうです。祖父母も多摩美生だったので、上野毛には個人的な思い入れもあります。昔は上野毛の駅前で学生が踊っていたって聞いて、「なんで今はないんだろう」と思ったんです。八王子とは違う、この「上野毛」という場の良さを生かした祭りをつくること、普段は学校で多くの課題制作をして家に帰るだけになってしまいがちな多摩美の学生が、もっと地域と関わる機会や、学生同士が繋がれて、将来にも繋がれる、「上野毛をみんなで味わえる」場を作ることが出来たらいいなと考えていました。

温かな光の下、思い思いに夜祭を楽しむ人々。キャンパスが優しい賑わいに包まれた瞬間。

「来年は、もっと“混ざる”祭りに」

——地域も他大学も巻き込んで、“ものづくり”でつながる新しい集まり方へ
——来年に向けて、どんな祭りにしたいですか?

長枝: 上野毛の町の人たちにもっと来てほしい。そして、美大生ではないけれど絵を描くのが好き、デザインが好き、そんな人たちとも一緒に祭りをつくりたい。インカレとも違う、新しい集まり方ができると思うんです。デザインやアート、表現は多種多様だけど、ものづくりが好きな人はみんな根っこに同じものを持っているんじゃないかと思うんです。それを正々堂々とぶつけ合える場を、上野毛という場を中心につくれたら最高です。

——最後に、来年こそ参加してみたいと思っている方々へメッセージを。

長枝: 「夏宵祭」は、統合デザイン学科や演劇舞踊デザイン学科の学生たちにこれまでに溜まっていたパワーが一気に出た場でした。でも、普段の展示や活動にもその力は宿っていると思います。来年はもっと広がっていくはずなので、ぜひ来年の「夏宵祭」を楽しみに来てほしいです。